1990年代後半から本格的に行われるようになった日本の中央アジア・西アジア文書研究はいまや西アジア・中央アジア歴史研究の主流となったといってもよいだろう。文書研究によって、王朝国家がイスラム教徒・キリスト教徒・ユダヤ教徒そのほかの宗教共同体からなる複合社会に対してどのような支配をおよぼそうとしてきたのか、イスラム法の規定がそういった社会に実際にどのような影響をおよぼしていたのか、などの研究成果が積み重ねられてきた。
昨年度からはじまった科研プロジェクト「ハラム文書に含まれるペルシア語文書の解読と研究」はこの3月末が折り返し点にあたる。来年度から研究成果を発表していくことになるが、そのためにこの時点で私たちのハラム文書研究を日本の中央アジア・西アジア文書研究全体の中に位置づける作業が必要である。この作業にはプロジェクトのメンバー以外の文書研究に携わっている研究者たちの協力が不可欠である。このたび東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所基幹研究「記憶のフィールドアーカイビング」との共催で当研究所においてシンポジウムを開催することとなった。私たちのプロジェクトがめざすものを含む今後の文書研究の方向を共に議論していきたい。
日時 | 2023年3月18日(土)14:00–18:00 |
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場所 | AA研大会議室(303)、オンライン会議室 |
司会 | 近藤信彰(AA研) |
使用言語 | 日本語 |
参加費 | 無料 |
事前登録が必要です。 参加ご希望の方は、こちらから事前のご登録をお願いします。 申し込み期限:3月17日(金)正午 |
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共催 | 科研費基盤研究(B)「ハラム文書に含まれるペルシア語文書の解読と研究」(研究代表者:川本正知(奈良大学)課題番号:21H00580),AA研基幹研究「「記憶」のフィールド・アーカイビング:イスラームがつなぐ共生社会の動態の解明」(研究代表者:野田仁(AA研)),科研費基盤研究 (B)「古文書資料の言語横断的総合分析に基づくモンゴル帝国の支配システムの解明」(研究代表者:松井太(大阪大学)課題番号:20H01324) |
協賛 | 共同利用・共同研究課題「イスラーム聖者廟の財産管理に関する史料学的研究:イラン・サファヴィー朝祖廟を事例として (2)」(研究代表者:渡部良子(東京大学)) |
- 基調報告
- 14:00–14:20 川本正知(奈良大学)
- 「中央アジア・西アジア文書研究におけるハラム文書研究」
- 報告
- 14:20–14:50 松井太(大阪大学)
- 報告1「ポスト=モンゴル諸王朝の書記官房におけるウイグル文字使用の伝統」
- 14:50–15:20 渡部良子(東京大学/AA研共同研究員)
- 報告2「ハラム文書中のペルシア語文書に見る14世紀北西イランのモンゴル社会:アミール・アドチ家文書を題材に」
- 15:20–15:50 熊倉和歌子(AA研)、オマル・アリー(ソハーグ大学)
- 報告3「あるホラーサーン商人の遺産関連文書にみる14世紀末の動乱」
- 15:50–16:10
- 休憩
- コメントと討論
- 16:10–16:35 矢島洋一(奈良女子大学/AA研共同研究員)
- 報告1へのコメントと討論
- 16:35–17:00 磯貝健一(京都大学)
- 報告2へのコメントと討論
- 17:00–17:25 佐藤健太郎(北海道大学)
- 報告3のコメントと討論
- 17:25–18:00 全体討論