期間 | 2016-2018年度 |
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研究代表者 | 近藤 洋平(AA研) |
AA研所員 | 黒木 英充,錦田 愛子 |
共同研究員 | 高橋 英海, 辻 明日香,吉村 貴之,若松 大樹,Antranig Dakessian, Guita Hourani, Ray Mouawad, Souad Slim |
昨今の中東地域における政治的変動の過程で、キリスト教徒やヤズィード教徒など、ムスリム(イスラーム教徒)と比較した宗教的少数派、またシーア派など、スンナ派と比較したイスラーム共同体内の宗派的少数派、さらにはクルド人やシリア難民をはじめとする政治社会的少数派が、大きな注目を浴びています。歴史的に見ると、中東地域の少数派は、その土地の多数派との対立と共存を経験してきました。これらの少数派は、特に近代国民国家システムの中で、その存在形態や政治的役割が強調されてきました。そしてとりわけ昨今の国家システム自体の溶融と社会の分極化の流れの中では、その生存自体が危ぶまれる状況ともなっています。
本研究課題は、歴史学・思想史的手法および政治学・社会学的手法等の手法を用いて、少数派の立場・視点から中東地域を考察します。中東地域に暮らす諸少数派の動向に焦点をあてることによって、中東諸国に暮らす人びとの普遍性や多様性を明らかにします。それとともに、地域の安定を目指す国際社会と足並みをそろえ、研究を通じて、同地域における人びとの平和的共存、あるいは人間の安全保障についても考えていきます。多様な宗派が共存するレバノンに設置された中東研究日本センター(JaCMES)を活動拠点の一つとして、中東地域の少数派を専門とする、各分野の第一線で活動する国内外の研究者が本課題に参加します。